見えにくい不動産会社の販売活動とは(1)
Q:住まいの売却をお願いした不動産会社は、どのような販売活動をしてくれるのですか?
住まいを売却する際、不動産会社が提示してくる査定金額は大事です。同様に、媒介契約を締結した不動産会社がどのように販売するのかも重要です。しかし、その実態はなかなか見えづらいもの。そこで、知っておきたい不動産会社の販売活動の中身を解き明かしていきましょう。
その1 チラシポスティング・折り込みチラシ
少し前までは不動産会社は輪転機(簡易な印刷機)をそれぞれ持っていました。毎日、午後になり、問い合わせや来店するお客様の対応が一段落すると、輪転機でチラシを何千部と印刷。夕方、それを手にした若手の営業マンがエリアの家々のポストに投げ込みに出かけるのが定番のスタイルでした。
現在でも同じようなスタイルでやっているところは少ないようです。いまは輪転機ではなく、パソコンのデータをビジネスプリンターでカラー印刷してチラシを作成。部数も絞って1,000部程度をポスティングしています。チラシづくりとポスティングは、会社の規模にかかわらず、どこの不動産会社でも行なっているもの。特に、専任媒介契約でお客様から預かった物件の周辺にチラシを撒くのは広告活動の基本と言えます。
一方、折込チラシは、地域密着型の不動産会社にとっては広告費がかかりすぎることから、もっぱら大手不動産会社が利用する媒体になっているのが現状です。近頃は新聞を取っていない家庭も多いことから、昔ほどの効果は期待できないのも折込チラシが敬遠される理由のひとつになっています。
不動産は、物件の半径1キロ以内など、近隣の人が購入する確率が高いもの。これは昔も今もあまり変わっていません。土地勘があり、学校や病院などの周辺環境をよく知っているなど、その町の良さを理解している人が、まったく知らない場所から来ていきなり買う人より断然多いわけです。
そのような背景があることから、基本的な広告活動であるチラシのポスティングは、とても大事な活動だと言えるでしょう。チラシの作成枚数やポスティング頻度は、それぞれの地域の特性や経験則によるため、不動産会社によって異なります。さらに言えば、最近ではインターネットに尽力しているためにチラシのポスティングを行なっていない不動産会社も散見します。
お客様はまず、「販促用のポスティングチラシを作りますか?」と不動産会社に聞いてみてください。ここでその不動産会社の広告活動の基本的な方針がわかるはずです。そして、「チラシを作ったらぜひ見せてください」と依頼しましょう。
その2 ポータルサイト・自社ホームページ
不動産のポータルサイトといえば、売買なら「スーモ(SUUMO)」「ホームズ(HOME’S)」、賃貸なら「アットホーム」「CHINTAI」が代表的なところです。お客様が不動産探しをするとき、まず見にいくインターネットサイトであり、不動産会社にとっては、集客のために欠かすことができない存在と言えるでしょう。
不動産会社ごとに契約しているポータルサイトは異なります。また、参考までに費用をお話しすると、各ポータルサイトによってさまざまで、1件掲載するのにいくら、あるいは、反響課金(お客様からの反響数に応じて金額が変化する)など、いろいろなパターンに分かれています。初期費用(入会金と設定費用)が3万〜5万程度に加えて、1物件あたりの掲載料が月に5,000円〜1万円程度が多いようです。
不動産会社はお預かりした物件を自社のホームページにも掲載します。お客様は、ポータルサイトを見て、良さそうな物件を見つけたら、その物件を扱っている不動産会社に問い合わせてみようと考えます。そこでチェックするのがその不動産会社のホームページです。お客様はその会社のホームページを見て問い合わせをするか否かを判断しますから、ホームページはかなり重要なわけです。
ひと口に自社ホームページといってもその実態は千差万別。預かった物件をしっかりと掲載しているのはもちろん、ホームページがきちんと更新されているのか、また、SNSなども使ってアクセスを集める努力をしているかなど、その会社の販売にかける姿勢が如実に表れます。媒介契約の前に、ぜひチェックしておきたい部分と言えるでしょう。